お金のとなりに、はかり?

お店でお金を払うとき、店の人がはかりを取り出したら、どう思いますか。「一枚、二枚と数えればよいのでは?」と不思議に感じるかもしれません。
江戸時代には、小判(こばん)のように枚数を数えて使うお金のほかに、重さを量って使うお金がありました。丁銀(ちょうぎん)や豆板銀(まめいたぎん)という銀のお金です。
お金なら、いつでも同じ方法で数えるのでしょうか。挿絵は、マスコットがはかりに興味を持つ架空の学びの場面です。江戸時代の店や道具を正確に再現した絵ではありません。
「何枚?」と「どれだけの重さ?」
小判などは、一枚に定められた金額をもとに、何枚でいくらになるかを数えます。こうした使い方をするお金を、計数貨幣(けいすうかへい)と呼びます。
一方、丁銀や豆板銀は、重さをもとに取引に使いました。こちらは秤量貨幣(しょうりょうかへい)。「秤」は、重さを量るはかりのことです。丁銀を一つ持ってきたというだけでは、どれだけの重さかはわかりません。
下の図は、数えるときに何を確かめるかの違いです。小判は枚数と定められた金額、丁銀などは合計の重さに注目しています。色や形だけで決まる区別ではありません。
貨幣博物館の「日本貨幣史」は、江戸時代の金貨・銀貨・銭貨の仕組みを紹介し、小判などと、丁銀・豆板銀で使い方が違ったことを説明しています。
何を確かめて、使う?
- 小判など:枚数
一枚に定められた金額をもとに、枚数を数える。
- 丁銀など:重さ
丁銀・豆板銀の合計の重さを量って使う。
支払いの記録にも、重さの単位

「重さで払った」というのは、物語の中だけの話でしょうか。貨幣博物館は、1715年の、畳を作る費用の支払いに関する古い文書を教材で紹介しています。
その文書の金額には、匁(もんめ)などの重さの単位が使われています。何枚という記録を探すだけでは、書かれた数字を読み違えてしまいそうですね。
同館の教材は、丁銀は一つずつ重さが違い、小さな調整には豆板銀を使ったと説明しています。「丁銀が一つだから、いつも同じ金額」とは考えられないのです。
二枚目の挿絵は、マスコットが架空の展示を見比べる場面です。実際の古文書や、特定の所蔵品の複製ではありません。昔の道具と、記録に出てくる単位を、一緒に見る入口として描いています。
三つあるほうが、多いとは限らない
下の図では、一つのまとまりに同じ大きさのマスが六つあります。もう一方は、二マスずつのまとまりが三つ。かたまりの数は一つと三つですが、マスの合計はどちらも六つです。
これは、個数と合計量が同じではないことを考える模型です。実際の銀貨の重さや金額ではありません。丁銀一つと豆板銀三つが、いつも同じ重さになるという意味でもありません。
また、「昔の銀のお金は、全部はかりで量った」と広げるのも正確ではありません。江戸時代には後に、枚数で使う銀貨も登場しました。材料が銀かどうかだけで、使い方を決めつけられないのですね。
ここでは数える基準に注目しましたが、実際の取引には銀の含まれる割合や、その時代の決まりなども関わります。「何でも同じ重さなら同じ金額」という決まりにしないでください。
かたまりの数と、マスの合計
- A:ひとまとまり
六マスがつながったまとまりは一つ。マスは合計六つ。
- B:三つのまとまり
二マスずつが三つ。マスは合計六つでAと同じ。
紙のまとまりで、比べてみよう
紙に、同じ大きさのマスを横へ六つ並べた図を二本描きます。一方はひとまとまりのまま、もう一方は二マスごとに線で区切り、三つのまとまりにします。
線で区切るだけなので、切ったり、実物のお金を量ったりしなくて大丈夫です。まとまりの数と、マスの数を別々に数えてみましょう。何を「一つ」と呼ぶかで、答えが変わりますね。
この活動は、丁銀を作る実験や、昔のお金の値段を調べる方法ではありません。枚数のような個数と、重さのような合計量を、分けて考えるためのものです。
博物館で古いお金やはかりを見たら、「どんな形?」に加えて、「何を基準に、どう使った?」とも聞いてみませんか。昔の人が数えるために確かめたことが、少し見えてきます。
くらべると、何が見える?
次の表は、この記事のために作った例です。
| 注目すること | たとえば | 考える手がかり |
|---|---|---|
| 枚数を数える | 小判などの計数貨幣 | 一枚に定められた金額を確かめ、枚数を数える。 |
| 重さを量る | 丁銀・豆板銀の秤量貨幣 | 個数だけでなく合計の重さを確かめる。 |
| 時代も調べる | 後に、枚数で使う銀貨も登場 | 銀でできていれば、必ず秤量貨幣とは限らない。 |
ことばの小さな辞典
- 計数貨幣(けいすうかへい)
- 一枚の金額をもとに、枚数を数えて使うお金。
- 秤量貨幣(しょうりょうかへい)
- 重さを量って取引に使うお金。
- 匁(もんめ)
- 昔の重さの単位。丁銀などの支払いの記録にも出てくる。
紙とえんぴつで、やってみよう
答えを送信する必要はありません。自分のノートに書いて、おうちの人と話してみてね。
- 同じ大きさのマスが六つ並ぶ図を、二本描こう。
- 一方は一つのまとまりにし、他方は二マスごとに線で区切ろう。
- まとまりの数と、マスの合計を別々に数えて比べよう。

じぶんの考えを見つけよう
考えてみよう!
ひとまとまりの六マスと、二マスずつ三組。何が違って、何が同じ?
考えるヒントを見る
まとまりの数は一つと三つ。中のマスを全部数えると、どちらも六つ。個数と合計量を別々に考えてみよう。
参考資料・さらに読む
おうちの方へ:お話のもとになった考え方を調べるための資料です(英語の資料を含みます)。身近な例や「考えてみよう」は、このサイトで作りました。
小判などと丁銀・豆板銀の計数・秤量の違い、後の計数銀貨、銀の品位が変わった歴史は貨幣博物館の日本貨幣史を参照しました。1715年の畳の費用の文書、重さの単位、丁銀の重さの違いと豆板銀による調整は同館の教材本文を確認しました。挿絵、マスの比較図、活動は本サイト独自の架空例・模型です。資料の文章や画像を転載していません。
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