土の中に、順番が残る

茶色の土の上に、別の土がたまり、その上に、また土がたまった。横から見た切り口には、何本もの帯が見えることがあります。この土の重なりを、土層(どそう)といいます。
遺跡(いせき)は、昔の人の暮らしや活動のあとが残る場所です。土の中の道具だけでなく、土がどう重なり、どこが掘られたかも、昔を知る手がかりになります。
そのまま上へ上へとたまった土なら、下の層は上の層より先にできたと考えられます。でも、深さを測るだけで、出来事を全部古い順に並べられるのでしょうか。
挿絵のマスコットが見ているのは、土の切り口を表す架空の展示模型です。実際の遺跡の記録でも、掘り方の説明でもありません。土の粒が生まれた年ではなく、その場所に土がたまった順を考えます。
下からA、B、Cと重なったら
まず、途中で掘り返されていない模型を見ましょう。Aがたまり、その上にB、さらにその上にCがたまりました。下の図の文字と、層の境目をたどってください。
Aがなければ、その上にBを重ねることはできません。この模型では、Aが先、Bが次、Cが後という順がわかります。厚い層ほど長い年月がかかった、という決まりにしたわけではありません。
英国バッキンガムシャーの歴史遺産ポータルも、一般には下の層が先、上の層が後であることを説明しています。ただし、どの時代の層も必ずそろっているとは限りません。
また、「AはBより先」とわかることと、「Aは何年にたまった」とわかることは違います。同じ解説は、重なりからわかる前後関係と、年代を調べることを分けています。深さ一センチを一年に置き換えるような読み方はしません。
重なった順を、下からたどる
- Aが先
最初にAがたまる。
- 上へ重なるBが次
Aの上にBがたまる。
- さらに重なるCが後
さらにBの上にCがたまる。
後から、深い穴を掘ったら?

今度は、A・B・Cができた後で、Cの上から穴を掘ったとします。穴はBを通り、Aの途中まで届きました。その穴に、土Dを入れて埋め戻します。
Dの一部は、Bより深いところにあります。それでも、Dをそこへ入れたのは、A・B・Cがたまった後です。深いところにあるからといって、その土が先にたまったとは言えません。
英国のプレスコット・ストリートの発掘紹介には、ヴィクトリア朝の地下室を作る工事が、より古い堆積を掘り抜いていた例が出てきます。後の時代の活動が、古い層より低い場所へ届くことがあるのです。
二枚目の挿絵は、マスコットが穴を埋めた模型とメモを見比べる場面です。実際の地下室や遺跡を再現していません。下の図で、Dの深さだけでなく、周りの層が途中で切れているところも見てください。
深くても、後から入ったD
- 三つの層ができる
下からA・B・Cが重なる。
- 古い層を切る穴を掘る
Cの上からAの途中まで掘り抜く。
- 穴の中を埋めるDで埋める
後から入れたDが、深い場所にも届く。
物だけでなく、周りも記録する
発掘で、物を早く取り出すことだけに注目すると、手がかりを失ってしまいます。どの土に入っていたか、周りの層は続いているか、穴の中だったか。場所や重なりも大切な情報です。
プレスコットの解説は、土の色や質、含まれるものなどの変化を観察し、上から見た図や切り口の図に記録すると説明しています。色一つで時代が決まるのではなく、いくつもの関係を確かめるのですね。
奈良文化財研究所は、一度掘り返した遺跡を同じ状況には戻せないことを説明し、掘らずに情報を探る研究も紹介しています。土を取り去る前に残したい情報があるから、調べ方そのものも考える必要があります。
ここで見たのは、土がたまったり、掘られたりした順です。見つかった道具が作られた時、使われた時、埋まった時も、同じとは限りません。「深いから全部古い」で済ませず、どの出来事の順を知りたいかを分けましょう。
掘らずに、紙で順番を作ろう
紙に、横長の四角を描き、上下三つの帯に分けます。下からA・B・Cと書き、「A、B、Cの順にたまった」という模型にします。色を使わなくても、文字と境目で見分けられます。
次に、Cの上から、Aの途中へ届くU字の穴を描きます。穴の内側をDとし、「三つの層ができた後で、穴を掘り、Dで埋めた」と決めましょう。Dは穴の中だけに描き、周りの層と混ぜません。
「Aがたまる」「Bがたまる」「Cがたまる」「穴を掘る」「Dで埋める」を、紙のすみに順番に書きます。図の中でDがBより下へ届くところを指し、どうして後の出来事だと言えるか話してみてください。
これは順番を確かめるために作った模型で、本物の地面がいつもこんな形という意味ではありません。遺跡や庭を掘る必要はありません。深さだけを見るところから、土のつながりや、切れた境目も見るところへ、問いを広げてみましょう。
くらべると、何が見える?
次の表は、この記事のために作った例です。
| 注目すること | たとえば | 考える手がかり |
|---|---|---|
| 上に重なる | 掘り返されず、Aの上にBがたまる。 | この模型ではAが先、Bが後。 |
| 古い層を掘る | A・B・Cを掘り抜き、穴をDで埋める。 | Dが深くても、穴を掘って埋めた出来事は後。 |
| 何年かを調べる | AがBより先とわかった。 | 前後関係だけでは、何年にできたかまでは決まらない。 |
ことばの小さな辞典
- 土層
- 土が重なってできた層。ここでは、その場所にたまった順を考える。
- 遺跡
- 昔の人の暮らしや活動のあとが残る場所。
- 前後関係
- ある出来事が、別の出来事より先か後かという関係。
紙とえんぴつで、やってみよう
答えを送信する必要はありません。自分のノートに書いて、おうちの人と話してみてね。
- 土が重なったままか、途中で掘られているかを見る。
- 層のつながりと、穴の境目を確かめる。
- どの出来事が先・後なのかを説明し、年号とは分ける。

じぶんの考えを見つけよう
考えてみよう!
紙のA・B・Cを掘り抜く穴を描き、Dで埋めたことにしよう。DがBより下にあっても、Dを入れたほうが後だと言えるのはなぜ?
考えるヒントを見る
穴を掘る時には、もうA・B・Cがあったね。深さと、出来事の順番を別々にたどってみよう。
参考資料・さらに読む
おうちの方へ:お話のもとになった考え方を調べるための資料です(英語の資料を含みます)。身近な例や「考えてみよう」は、このサイトで作りました。
重なりと穴の前後関係、前後と年代の違いはBuckinghamshireの解説、地下室と記録の例はPrescot Digの解説、一度掘り返すと同じ状態には戻せないことは奈良文化財研究所の解説を参照しました。A・B・C・Dの層、穴、展示模型、マスコットの場面と図は、本サイト独自の説明用の例です。土層の色や厚さは年代の目盛りではなく、実際の発掘記録の再現でもありません。
- Buckinghamshire’s Heritage Portal「Understanding stratigraphy」—重なり・穴・前後関係
- Prescot Dig「What is stratigraphy?」—地下室の例と土層の記録
- 奈良文化財研究所「(25)掘らずに遺跡を探る(上)」
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