「1月1日」なら、同じ日?

「元日の朝に会おう」と約束した2人が、別々の日に来てしまった。そんなお話を想像してみてください。2人とも1月1日のつもりでも、ちがう決まりで作られた暦(こよみ)を使っていたら、ずれることがあります。
暦は、日を数えて、月や年にまとめるしくみです。今日、学校やお店でよく使うカレンダーにも、作り方の決まりがあります。昔からずっと同じ決まりだったわけではありません。
下の絵の月や太陽の飾りは、暦が自然の動きと関係することを表しています。月の並びを正確に調べるための図ではありません。まず「何を目印に日をまとめるか」に注目してみよう。
月を目印にする、季節を目印にする
日本で今使われているグレゴリオ暦は、太陽の見かけの動き、つまり季節のめぐりをもとにする太陽暦(たいようれき)です。1月1日だからといって、毎年、その日が新月になるわけではありません。
一方、昔の日本で使われた太陰太陽暦(たいいんたいようれき)は、月の満ち欠けでひと月を区切り、季節のめぐりにも合わせるしくみでした。新月の日を、その月の1日とします。
月の満ち欠け12回ぶんは、季節がひとめぐりする長さより短くなります。そのずれを直すため、ひと月を足す年がありました。その追加の月が、閏月(うるうづき)です。下の図で、何を月の目印にし、何に年を合わせるかをくらべよう。
何を目印にする暦?
- 太陽暦
年を季節のめぐりに合わせる。月初めが新月とは限らない。
- 太陰太陽暦
新月で月を区切り、閏月を入れて季節と調整する。
- 読むときの注意
「1月1日」が同じ数字でも、同じ一日とは限らない。
昔の正月を、今の暦でさがすと

国立天文台の説明では、明治3年の1月1日は、今のグレゴリオ暦に直すと1870年2月1日。翌年、明治4年の1月1日は、1871年2月19日になります。昔の正月が、今の暦では毎年同じ日にならないことがわかりますね。
「昔は2月を1月と呼んだだけ」ではありません。ひと月の区切り方や、月を足す決まりそのものがちがうのです。「ひと月ずらせば、いつでも直せる」というものでもありません。
日付を書いた記録を読むときは、数字だけでなく、どの暦の数字かも大切になります。絵の2つのカレンダーはしくみを考えるための架空の道具で、実物の古い暦を写したものではありません。
日付が飛んだ日もある
日本では、1873年から太陽暦を使うことになりました。切り替えにあたって、旧暦の明治5年12月2日の翌日を、新しい暦の明治6年1月1日としました。説明図の順序をたどってみよう。
このとき、太陽が急に速く動いたのではありません。続いている一日に付ける日付を、社会の決まりとして切り替えたのです。使う暦を変えると、年末の予定や行事の日の数え方も考え直す必要があります。
自然を調べて作る暦にも、みんなで同じ日を指せるようにする約束が含まれています。だから、暦の歴史には、天文学だけでなく、人のくらしや制度の歴史もつながっているのです。
日本で暦を切り替えたとき
- 旧暦の明治5年12月1日
日本で太陰太陽暦を使っていた時期。
- 翌日旧暦の明治5年12月2日
旧暦による日付の最後の日。
- 翌日・日付の決まりを切り替え新暦の明治6年1月1日
前の日の翌日。1873年から太陽暦へ。
日付に「ものさしの名前」を添えよう
長さを「10」とだけ言われたら、10センチか、10メートルかわかりませんね。昔の日付も、似たところがあります。「何年の、どの暦の1月1日?」と確かめると、同じ出来事を別の日だと思いこまずにすみます。
「1年の始まりは、いつも1月?」への答えを、もう一歩考えてみよう。1月という名前を使っていても、今のカレンダーの1月と同じ時期とは限りません。日付の名前と、実際の一日を、分けて考えるのが手がかりです。
くらべると、何が見える?
次の表は、この記事のために作った例です。
| 注目すること | たとえば | 考える手がかり |
|---|---|---|
| 今の1月1日 | グレゴリオ暦の年の始まり | 月の満ち欠けとは別の決まりで月を区切る。 |
| 明治3年の1月1日 | 今の暦では1870年2月1日 | 同じ数字でも、今の1月1日とは別の日。 |
| 明治4年の1月1日 | 今の暦では1871年2月19日 | 翌年も同じ日数だけずれるわけではない。 |
ことばの小さな辞典
- 暦
- 日を数え、月や年にまとめるしくみ。
- 太陽暦
- 季節のめぐりに年を合わせる暦。今のグレゴリオ暦もそのひとつ。
- 太陰太陽暦
- 月の満ち欠けで月を区切り、月を足すなどして季節にも合わせる暦。
- 改暦
- 社会で使う暦の決まりを変えること。
紙とえんぴつで、やってみよう
答えを送信する必要はありません。自分のノートに書いて、おうちの人と話してみてね。
- 紙に「1月1日」と書き、暦の名前がないと何がわからないか考えよう。
- 本文の明治3年と4年の例を、今の暦の日付と線で結ぼう。
- 古い日付を調べるときの確認メモを「年・地域・暦・注」の4つで作ろう。

じぶんの考えを見つけよう
考えてみよう!
古い日記に「1月1日に会った」とだけありました。今のカレンダーの1月1日だと決める前に、何を調べる?
考えるヒントを見る
まず何年の記録か、どの地域で使われた暦かを確かめます。翻刻や解説ですでに新しい暦へ直してある可能性もあるので、注も読もう。数字から推測するだけで、日付を変えてはいけません。
参考資料・さらに読む
おうちの方へ:お話のもとになった考え方を調べるための資料です(英語の資料を含みます)。身近な例や「考えてみよう」は、このサイトで作りました。
太陽暦と太陰太陽暦のしくみ、明治3年・4年の元日の対応は国立天文台FAQ、1873年の改暦は暦計算室の展示解説を参照しました。待ち合わせ、ものさしの比喩、挿絵、活動は本サイト独自の説明です。
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