家は広がっていないのに

隣り合う二つの場所の間に、横へ動く戸があります。閉めると向こうが見えません。少し開けると、向こう側の人や物が見え、行き来できる所ができました。家の外側を広げたわけではありません。
部屋を仕切る戸に、襖(ふすま)があります。白っぽい紙が張られたものや、模様のあるものを見たことがあるかもしれません。では、ふすまは動かない壁と、まったく同じ働きなのでしょうか。
挿絵は、マスコットがふすまのそばにいる架空の住まいです。特定の古い家の再現ではありません。この記事では、部屋の間を仕切る、横へ動かすふすまを例に考えます。
「仕切る」と「つなぐ」を切り替える
下の図は、同じ長方形の空間を上から見た模型です。仕切りを閉めた図と、二枚の戸を片側へ重ねて開けた図を比べます。外の形と、床の広さは同じです。
閉めると、二つの場所を分けて使えます。開けると、戸を動かした分だけ開口、つまり開いた所ができます。二つの場所のつながり方が変わったのですね。
一緒に話す時は、向こうを見ながら過ごしたいかもしれません。別々のことをしたい時は、区切りがほしい場合もあります。これは本サイトで作った使い方の例です。開けるほうが、いつでもよいという順位ではありません。
図は関係を単純化したもので、実際の戸の溝や厚さ、音や温度の性能は示しません。戸を開けたことと、建物の床の面積が増えたことを、分けて見てください。
同じ広さで、つながりが変わる
- 閉める
区切りが続き、二つの場所を分ける。
- 開ける
戸を重ねた分だけ、開いた所ができる。
一枚の紙だけで、できている?

ふすまの表面が紙なら、紙を一枚立てただけなのでしょうか。LIXILの用語集は、木で骨組みを作り、両面にふすま紙を張り、引き手と縁を付けた構造を紹介しています。
引き手は、戸を動かす時に手をかける所です。縁(ふち)は、周りを囲む部分。表面の模様だけでなく、形を保つ部分や扱うための部分もあるのですね。下の図で、見る場所を分けましょう。
これは一般的な構造の説明で、どの製品も内部まで同じ、という意味ではありません。住まいづくりナビセンターも、戸やふすま、障子などの動く仕切りを、建具(たてぐ)として紹介しています。
家の骨組みと、動かして使う戸を、同じものとして扱わないことも大切です。二枚目の挿絵では、紙の図を使って仕切りを考えています。本物の柱や戸を動かす実験ではありません。
表面だけでなく、作りも見る
- 紙・骨組み・縁
紙の面だけでなく、形を保つ部分もある。
- 引き手
動かして扱うために手をかける所。
部屋の間だけが、ふすまの場所?
茨城県表具内装組合連合会は、ふすまを使う場所によって、部屋と部屋の間の「間仕切り」と、「押入れ」などを分けて説明しています。同じ名前の戸でも、どこを区切るかが違います。
同会の解説には、横に引く形だけでなく、開く形の種類も出てきます。「ふすまなら全部、同じ動かし方」とは決められないのですね。この記事の模型は、その中の引き戸の一例です。
住まいを見る時は、「和室だから、こう使うはず」と人の暮らしまで決めるより、「何と何を分けている?」「どう動く?」と聞いてみましょう。時代や建物が違えば、組み合わせも違います。
ふすまを使わない家や、別の戸や仕切りを使う家もあります。文化の工夫を知ることは、一つの形を全員の正解にすることではありません。どんな場面で、何をしたいかと一緒に見る入口になります。
紙の区切りを、動かしてみよう
紙に横長の長方形を一つ描き、家の中の空間に見立てます。小さな紙片を中央に置き、二つの場所に区切ったつもりにしましょう。紙片は貼り付けません。
次に、紙片を少し端へずらし、中央に通り道ができたつもりにします。長方形の外側は描き直さず、仕切りだけを変えます。何が同じで、何が変わりましたか。
「床の広さは同じ」「区切りの開いた所ができた」と、図で確かめられることを先に話します。その後で「一緒に話す場所にしたい」など、使い方の案を添えてみましょう。
これは空間の関係を考える紙の模型で、実物のふすまを作る手順ではありません。本物の戸を外したり、家の壁を変えたりせずに試せます。住まいの形に、使う人のやりたいことを重ねて見ると、いつもの境目にも工夫が見つかります。
くらべると、何が見える?
次の表は、この記事のために作った例です。
| 注目すること | たとえば | 考える手がかり |
|---|---|---|
| 仕切りを閉める | 二つの場所を分けて使う。 | 外の形を変えず、見える範囲を区切れる。 |
| 仕切りを開ける | 片側へ戸を動かし、開いた所を作る。 | 床を増やすのでなく、場所のつながりを変える。 |
| 使う所を確かめる | 部屋の間か、押入れの前かを見る。 | 同じ名前でも、区切る対象や動かし方が違うことがある。 |
ことばの小さな辞典
- ふすま
- ここでは、部屋の間を仕切る引き戸の例。使う場所や形には種類がある。
- 建具
- 窓や戸、ふすまなど、開口部や仕切りで使う動く部材。
- 引き手
- 戸を動かす時に、手をかける所。
紙とえんぴつで、やってみよう
答えを送信する必要はありません。自分のノートに書いて、おうちの人と話してみてね。
- 何と何の間にあるかを見る。
- 閉めた時と開けた時の違いを比べる。
- 広さと使い方を分けて、工夫の理由を考える。

じぶんの考えを見つけよう
考えてみよう!
同じ長方形に置いた紙の仕切りを、少し端へずらしてみよう。床の広さと、場所のつながり方は、どちらも変わった?
考えるヒントを見る
長方形の外側は描き直していないね。変わったのは区切りの開いた所。その使い方も考えてみよう。
参考資料・さらに読む
おうちの方へ:お話のもとになった考え方を調べるための資料です(英語の資料を含みます)。身近な例や「考えてみよう」は、このサイトで作りました。
ふすまの代表的な構造はLIXILの用語集、開閉様式と用途の違いは茨城県表具内装組合連合会の解説、建具という見方は住まいづくりナビセンターのコラムを参照しました。長方形の空間、使い方の例、紙片の活動、マスコットの住まいと図は、本サイト独自の説明用の模型です。実在する古民家や実際の工事を再現していません。
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