食の慣習と文化の多様性

「ふつうの朝ごはん」は、みんな同じ?

ごはん、パン、おかゆ。「うちではいつも」の後ろにある、くらしの理由をたずねてみよう。

この記事で考えること:「うちのふつう」を、全員の決まりにしない。食べ方の背景を知り、目の前の人にも確かめよう。

「朝はこれでしょ」が、ちがった

マスコットの前に、ごはんと汁もの、パンと果物、おかゆの3つの朝ごはんが並んでいます。国を代表しない架空の例です。
マスコットの前に、ごはんと汁もの、パンと果物、おかゆの3つの朝ごはんが並んでいます。国を代表しない架空の例です。

「朝ごはんは、ごはんと汁ものがふつうだよ」「うちはパンだよ」「うちは、おかゆの日もあるよ」。同じ教室で、こんな会話があったとします。だれかの朝ごはんが、まちがいなのでしょうか。

ここでの「ふつう」は、自分の家でよく見てきたことを指しているのかもしれません。それを、そのまま全員に当てはめると、ほかの人のくらしが見えにくくなります。

下の絵には、ごはんと汁もの、パンと果物、おかゆの3つの例があります。架空の朝ごはんで、国ごとの代表でも、栄養の順位でもありません。まず、自分が「いつも」と感じるのはどれかな。

料理の名前の後ろに、くらしがある

食べることには、材料だけでなく、買い方、作り方、食べる時間、だれと分けるかも関わります。こうしたくり返しのやり方を、慣習(かんしゅう)と呼びます。

たとえば、前の晩に炊いたごはんを温める家。朝、短い時間でパンを用意する家。休日にはゆっくり料理をする家。同じ人でも、その日の予定によって変わることがあります。これは、くらしとのつながりを考えるための例です。

家族から教わった味が思い出につながることもあります。UNESCOも、材料を得ることから食事を分け合うことまで、食に関する知識ややり方が人から人へ伝わる点に注目しています。下の図では、ひと皿を見るときの入口を3つに分けました。

ひと皿から、くらしを見る3つの入口

  1. 材料と準備

    買える材料、前の晩の準備、朝の調理時間。

  2. 場面と予定

    平日の急ぐ朝か、休日のゆっくりした朝か。

  3. 受けついだこと

    家族や身近な人から教わった味や作り方。

料理名だけで文化を決めず、作り方や時間、伝わり方にも目を向けるための架空例です。

国の名前だけでは、決まらない

「この国の人は、みんなこの朝ごはん」と覚えたくなるかもしれません。でも、地域、家庭、世代、好みがちがえば、食べ方も同じとは限りません。ひとつの家で暮らしていても、別のものを食べる場合があります。

食べられないものや、食べないと決めているものがある人もいます。体の事情や信条など、理由はいろいろです。見た目だけで理由を当てたり、説明を無理に求めたりする必要はありません。

文化を知るとは、人を決まった箱に入れることではありません。「よくあるやり方」という手がかりを持ちながら、目の前の人はどうしているのかを確かめることです。ひとりの話を、国じゅうの話に広げないようにしよう。

「変なの」より、「どんなときに?」

パンの皿の前のマスコットが、おかゆのような食事を前にしたうさぎの友だちの話を、ノートを持って聞いています。
パンの皿の前のマスコットが、おかゆのような食事を前にしたうさぎの友だちの話を、ノートを持って聞いています。

知らない料理を見たとき、びっくりする気持ちはあってよいのです。そのあとに「変だ」と決めつけるか、「どんなときに食べるの?」とたずねるかで、会話は変わります。

下の絵では、マスコットが友だちの話を聞いています。相手が話したくないことは聞き出さず、教えてくれた範囲を大切にしよう。「朝はいつも?」「休日もちがわない?」なら、その人のくらしに近づけそうです。

説明図では、「見たこと」「たずねること」「言える範囲」を分けています。今日パンを食べたとわかっても、毎日パンだとはわかりません。たった一度の観察で、相手の全部を決めないのがコツです。

一度見ただけで、全部を決めない

  1. 見たこと

    今日はパンを食べていた。

  2. 問いを持つ
    まだ不明

    毎日同じ? 休日も同じ?

  3. 相手に確かめる
    聞ける範囲で聞く

    「いつもこれ?」とたずねる。話したくないことは尊重。

  4. 範囲を限る
    言える範囲

    教えてくれたその人の例。国や家庭の全員には広げない。

今日の食事という観察と、いつもの習慣についての判断を分けます。

ちがいを知って、一緒に考える

ちがう食べ方を知ることは、自分の家の食べ方をやめることではありません。いつもの味を大切にしながら、別のいつもにも理由があると知ることです。

もし一緒に食事を用意するなら、「みんな同じものなら大丈夫」と決めず、食べられるものを確かめて相談できます。文化のちがいは話の入口になりますが、一人ひとりへの確認の代わりにはなりません。

今度「ふつうはこうだよ」と言いたくなったら、「うちではこうすることが多いよ」に言い換えてみよう。小さな言葉のちがいが、相手も自分の話をしやすい場所を作ってくれます。

くらべると、何が見える?

次の表は、この記事のために作った例です。

食の慣習と文化の多様性をくらべる
注目することたとえば考える手がかり
自分の家の例「うちは朝にごはんを食べることが多い」自分が知っている範囲を示せる。
広げすぎた言い方「この国の人は全員ごはん」家庭や日によるちがいが消えてしまう。
確かめる言い方「あなたの家では、どんなときに食べる?」答えたくないことも尊重し、その人の範囲で聞ける。

ことばの小さな辞典

慣習
人や集まりの中で、くり返されている生活のやり方。
多様性
同じ集まりの中にも、さまざまなやり方や事情があること。
決めつけ
少ない手がかりだけで、相手もきっとこうだと決めてしまうこと。

紙とえんぴつで、やってみよう

答えを送信する必要はありません。自分のノートに書いて、おうちの人と話してみてね。

  1. 実際の家庭を調べず、架空の2人の朝ごはんを描こう。
  2. 同じ人でも平日と休日で変わる例をひとつ考えよう。
  3. 「みんな〜する」を「この例では〜する」に言い換え、何がちがうか話そう。

じぶんの考えを見つけよう

考えてみよう!

「この国の朝ごはんはパンです」という紹介を見ました。「みんな毎日パン」と決めないために、どんな問いを足せる?

考えるヒントを見る

「どの地域や家庭の例かな」「いつの食事かな」「ほかの食べ方もあるかな」と確かめられます。紹介の一例は、その国のすべての人を表すとは限りません。食べ物や家庭の事情を友だちに無理に発表してもらわなくて大丈夫です。

参考資料・さらに読む

おうちの方へ:お話のもとになった考え方を調べるための資料です(英語の資料を含みます)。身近な例や「考えてみよう」は、このサイトで作りました。

食に関する知識や社会的な実践の継承はUNESCOのFood Atlas紹介、同じ家庭の中にも異なる食べ方があるという論点は人類学者Gustavo LabordeによるUNESCO Courier記事を参照しました。朝ごはんの組み合わせ、会話、図、活動は本サイト独自の架空例で、各国の代表例や栄養指導ではありません。

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